《♪〜♪〜♪〜》




いつもの時間にスマホが鳴る。

なんとなく、今朝の同僚の言葉がチラついて、着信画面をそのまま眺める。



いやいや。あいつの言葉なんて気にする必要ねぇだろ。



俺は、イライラをはねのけるように、舌打ちをして画面をタップした。






「はい。」


「お疲れさまです。谷口です。」


「あぁ、お疲れ。」




素っ気なくしたい訳ではないのに、今は少し
虫の居所が悪い。

すると、谷口が心配そうな、不安そうな声になる。





「今日、残業してましたよね?大丈夫でしたか?」





そうだ。

こいつは、こういう雰囲気をいつも敏感に感じとるんだった。



俺は改めて気持ちを切り替えようと努めた。






「あぁ。大した事ねぇよ。もう、いつも通り家でくつろいでたところだ。」


「そうなんですね。よかった。」






軽い調子を装えば、ほっと安心したような、いつものふわふわした声に戻った。