そして、休日が終わり、月曜日。
出社すれば、谷口が山岸と井村と話しているのがフロアの奥に見えた。
なんだ。普通に会話出来てるじゃねぇか。
握りこぶしも作ってねぇし、まだ少しぎこちないが、笑顔もある。
こうして見れば、普通の女子社員だ。
なんとなく、目が離せなくて眺めていると、ふいに肩に重みが掛かる。
「なんか、最近谷口っちゃん変わったよな。な?谷口っちゃん係さん?」
そう話し掛けてきたのは同僚で、俺の肩に腕を乗せながら谷口達の方を見ていた。
「そうだな。」
「後ハイ指導の賜物?ってか、谷口っちゃん係はもう否定しないのね。」
肯定も否定もせずに黙っていると、お構い無しで話を続ける。
「でも、ほんと。ちょっと前まではオドオド、キョロキョロしてたのに……お。こっち見た。」
俺と同僚の目線に気付いたのか、谷口がこちらを見てあっ、と一瞬だけ口を開いた。
そして、山岸と井村に小さく手を振って、こちらに小走りで駆け寄って来る。