「おしゃべり好きになってきたみたいだな?」
「あ、あはは……。」
「じゃあ、ここらで約束の映画の感想スピーチ。そうだな、10分いっとくか。」
俺がそう言えば、サーっと青ざめる谷口。
「じ、じゅっぷん?!」
「はい、スタート!」
にやにや笑って、パン!と手を叩けば、
「やっぱり神崎さんはおっかないですぅ!」
そう言って、半べそをかく谷口が面白くてつい意地悪をしたくなる。
俺は、しどろもどろになりながらもスピーチをする谷口を見ながら、こんな休日も悪くないと思ってしまっていた。
イライラじゃない。
なにか、少し落ち着かない。
だが、このままでいるのは悪くない気分だった。