「ギリギリ合格だな。」


「精進します……。」





そう言って、うなだれる様子は、まるで耳の垂れたうさぎのようだ。





「まぁ、お前根性はあるんだから、大丈夫だって。」





どうも俺は、こいつのこの仕草に弱いらしい。

小動物を虐めているような気分になるからか?





「根性…ですか。」


「俺に散々言われてるのに、泣かずについてくるところとか。あー…俺、こんな顔だろ?ちょっと注意しただけでも、女子社員に泣かれる事もあってな。女は正直苦手だが、お前の根性は認めてる。」





こいつを元気づけたいと思って話したが、つい自分の弱い部分も出してしまった。

どうしてだか、俺はこいつをなんとかしてやりたいと思ってしまう。

よく分からない感情だ。






すると、谷口は真剣な表情になった。