「何がいい?」




映画館に着いて、そう言いながら半歩後ろにいる谷口を振り返れば、





「え、わたしが選ぶんですか?」





と、慌てた様子で答えた。





「見たいもん選べ。」


「えーと……。」




きょろきょろと、上映中の映画のパネルを見る谷口。



今だったら、恋愛映画が何本かあるから、それかな。


そんなことを思っていると、くるりと谷口が振り返った。





「じゃあ、あれがいいです!」


「どれ?」


「あれです。ビオハザード!」





びしっと、指を指したのは、某ゲーム原作のゾンビものの海外映画。





「え。あれか?」





以外すぎて、思わずそ言うと、谷口がハッとした顔になる。






「あ、もしかして、グロいのダメですか?」


「いや、そうじゃないが、意外で。てっきり恋愛ものかと。」





そう言えば、谷口は少し困ったように眉を下げた。