それからも、一進一退の繰り返しが続いた。
そして、夜。
いつもと同じ時間にスマホが鳴った。
あいつかな。
時間を合わせてくるあたりが、本当に真面目な奴だ。
「はい。」
「……あの…もしもし?」
少し間があいて、震え気味の小さな声が聞こえた。
振り絞った、という表現がぴったりなその声を聞いただけで、あの小動物のような目がおどおどと不安そうに揺れている顔が思い浮かぶ。
……ちょっと、意地悪してやるか。
「はい。もしもし?」
俺がそれだけ返すと、
「あの…えっと……。」
なんとか無言電話にならないようにと、四苦八苦しているようだが、言葉は出てこない。
「……不合格。」
「うぅ……そんなぁ……。」
「最初の一言プラス、その後のもう一文くらい考えとけ。阿呆。」
ぴしゃりとそう言えば、また一段と小さな声ですみません、とだけ聞こえた。
「まぁ、最初に比べればマシだけどな。出だし以外の会話もスムーズになってきたし。」
「……!ありがとうございます!でも、やっぱり最初は緊張しちゃって……。」



