《♪〜♪〜♪〜》


仕事が終わり、帰宅してシャワーを浴びてゆっくりしていたところに、スマホが鳴って、とりあえず画面をタップする。





「はい?」


「……。」


「…もしもし?」


「……あ。」





なにか、小さな声がぽつりと聞こえて、また無言になる。

こいつ……





「……おいこら、谷口ぃ!」


「は、はひぃ!」





そう一声怒鳴れば、これまた間抜けな裏返り声の返事が聞こえた。





「無言電話かましてんじゃねぇよ!もしもし、ぐらい言えねぇのか!」





こいつ、こんなんでよく電話対応させてもらってたな。そりゃあ、クレームも来るわ。






「す、すみません!あの……。」


「あ?」


「お、怒らないでくださいよぉ……。」






イライラを隠すこともせずに短く返せば、震える声が返ってくる。






「わ、わたし、電話が特に…ニガテで……。」


「知ってるわ!が、やんなきゃ、出来るようになんねぇだろ。」