「ありがとうございます。でも、座ってれば大丈夫ですよ」

「そう?無理しないでね…旦那さんが心配でこっち見てるわよ」

振り向くと、半年前に、できちゃった婚を仕込んだ渡部さんが、絵梨花を心配そうにチラチラと見ている姿あった。

その横で、朝陽はスピーチでも考えているのか難しい顔をしてるのに、独身男性の中で、彼のカッコよさは目立つらしく、お近づきになりたい女性達が遠巻きに彼を見つめていた。

そんな光景に、モヤッとしてしまう。

渡部さんの時といい、今回も、朝陽は周りの同僚が結婚しても何も変わらない。

羨ましくて、焦っているのは私だけの気がして、結婚について触れられないでいる。

「莉子ちゃん、次は、あなたの番ね」

「…あっ、はい。だと嬉しいんですけど…まだ恋人期間は短いので、もう少しは、このままでいようと2人で話してるんですよ。結婚する時は、是非出席お願いします」

「もちろんよ。その日を楽しみに待ってるわ」

そんな話なんて出てもいないのに、つまらない見栄を張ってしまい、後悔してうまく笑えない。

それでも、幸せなカップルを最後まで祝福できた私は、感動で少し興奮している。

「素敵なお式だったね」