「あーぁ、もう帰ろうぜ…あいつのデレた顔なんて見てるより、2人でいちゃつこう」

なぁ…っと言って、肩を抱き寄せた朝陽は、頬にチュッとキスしてきた。

魅力的な提案だけど…

「ダメだよ。朝陽は、友人代表のスピーチがあるでしょ」

「それな…気が重い。あいつの友人になったつもりないんだけど、何言えばいいんだ?」

「考えてないの?」

「思いつかないんだから、仕方ない。なんとかなるさ…ほら、写真撮影らしいぞ」

朝陽に手を繋がれて、幸せな2人の輪に歩いて行った。

レストランを貸し切ってのビュッフェスタイルのウエディングパーティは、あちこちで会話が弾み、とても賑やかで素敵なパーティになっている。

「砂羽さん、梶岡さん、おめでとうございます」

絵梨花と2人で、高砂席に座る砂羽さんの元へ、改めてお祝いの言葉を述べた。

「2人とも、今日は来てくれてありがとう」

「なに言ってるんですか…私達、友達なんですから、出席して当然です」

一年前には、この新郎新婦のせいでいろいろと迷惑を被った私。

だけど、2人の幸せを見せつけられて羨ましいと思っている。

「絵梨花ちゃんは妊婦さんなんだから、辛かったら休憩室使ってね」