「じゃあ、朝陽って名前呼び許さないでよ。呼んでいいのは私だけなんだから…同期だからって、べたべたして馴れ馴れしいし、朝陽も朝陽で、彼女が私を馬鹿にしても怒らなかったじゃない」

「馬鹿にしてなかっただろう」

「してたわよ。小さくて守ってあげたくなる、今までにないタイプの女性で正直驚いたわって」

「それのどこが馬鹿にしてるって言うんだ?」

「わからないの?はあっ、あなたなんて朝陽のタイプじゃないのよって言ってるのと同じよ」

「考えすぎだ。あいつには悪気なんてないんだよ」

「どうして肩もつのよ。本当は私なんかより多岐川さんのような人がタイプなんでしょ」

「あいつには何の感情もない」

「何もないわけないじゃん。さっきから不愉快な匂いが、朝陽につくぐらい親密なことしてきたんでしょ」

溜まっていた鬱憤が止まらなく、とうとう言ってはいけないことまで言ったと気がついた時は、朝陽の表情から必死さが消えた時だった。

「俺が信用できないなら、もう勝手になんとでも思ってろ。しばらく、俺たち距離をおいて考えた方がいいかもな」

バンと玄関ドアを勢いよく閉めて出ていた朝陽を追いかけれないほど、朝陽の言葉にショックを受けていた。