「なぁ、莉乃」

不意に海斗に名前を呼ばれた。

「な、なに?」

緊張しすぎて上手く返せなかったけど、海斗は気にすることなく言った。

「高校入ったら、変な奴らに絡まれんなよ」

話がいまいち分からない‥‥‥

「変な奴らって?」

「‥‥‥莉乃のこと狙ってくる奴らだよ」

「そんな人いないと思うけど?」

今までいたこともないけど‥‥‥?

「莉乃は、気付いていないかもしれないけど中にはいるんだよ。莉乃の良さに気づいて、好きと言ってくる人が」

「もしいたら、断るよ」

私には、大好きな海斗がいるから。

「‥‥‥もし、それが俺だったとしても?」

「!」

思ってもいなかった状況に、私は驚きを隠せない。

「莉乃が好きって俺が言ったら莉乃はどう思う?」

告白しようと思っていたのに、海斗に告白されてしまった‥‥‥

でも、“もし”って言ったから本当はどうなんだろう?

「‥‥‥じゃ、じゃあ、私も好きって言ったら海斗はどうするの?」

海斗のその気持ちを確かめたくて、逆に質問した。

「こうする」

だんだんと海斗の顔が迫ってきて、思わず目を瞑った。