「ごめんなさい。今のは忘れてくれますか?」 いつものように笑顔で、さっき外した仮面をつける。 「お前、似合わないよ。さっきのほうがいい顔してた」 「え?」 「今は偽って感じ。なんかつくってみえる」 今まで、ずっとばれなかった。 ちゃんとうまく笑ってるつもり。 中学生のころから身につけたこの笑顔は、今のわたしにとったら素なのに。 どうして、ばれてしまったんだろう。 「いいんじゃねえの?無理して笑わなくたって」 彼には、到底理解できないだろう。 わたしがこうして仮面をつけている理由が。