「まあそんな感じ。父さんを殺したのは俺っていわれるのは仕方ないかもな」

全然、違う。

二階堂くんがお父さんを殺したなんて。

まわりだ。まわりの大人たちが殺した。

お母さんが、殺した。

それも、お父さんだけじゃない。

いまこうして目の前で悲しく笑う二階堂くんのことも殺した。


「俺、結局逃れられないんだよな。お坊ちゃんっていう運命から。世界はこんなに広くて、優しさに溢れてるはずなのに、どうして俺はこの運命から逃げられなかったんだろう」


涙がぽろり、またぽろりと二階堂くんの目から零れ落ちる。