「麗華、二階堂って男と付き合ってるらしいじゃないか」


家に帰ると、いつもは遅い父さんが今日は帰ってきていた。

そして開口一番にそんな言葉。


「なんでも不良だって聞いたぞ。俺はそんな風に麗華を育てた覚えはない」


なにも、知らないくせに。

どこから仕入れた情報なのか知らないけど、父さんも結局は真実よりも噂を信じるんだ。


「もうほっといて!!」

「麗華!」


もう嫌だよ。

本当はいい子なんかじゃないよわたし。

本当は完璧なんかじゃない。

わたしも、ただの人間だよ。

ごく一般的にいる、普通の女子高校生だよ。


傷つくことだってあるし、笑えないときだってあるし、怒りたいときだってあるし、泣き叫びたいことだってある。

どうして、それをわかってくれないんだろう。