「好きです!付き合ってください」


まただ。

何回目だろう。

目の前にいるのは全然知らない男子。

顔も、名前も、学年も知らない。

でも、嫌な顔なんてわたしはしない。



「ごめんなさい」

「どうしても、だめですか?」

「いまは、恋人とか考えられなくて。でも、ありがとう」


そういって微笑めば、たいていの男は諦めてくれる。


「ありがとう」

その言葉がわたしから聞けるだけで嬉しいらしい。



案の定、目の前にいる男子も少し顔を赤くして去っていった。