「遅くなりました。さて、どこですか?」

相原が質問してきたのは応用問題だった。

少しひねってあるため、考え方をちょっと教えると次々に解ける問題ばかり。

溜めていたという5問ほどを解説し、満足した顔で部屋を出ようとした相原に声をかける。

「昨日はすみませんでした。」

「え?」

「昨日、質問しようとしてたみたいですね。ちょっと他の人に捕まってしまって…」

「…気付いてたの……?」

「そりゃ、気付きますよ。これ、お詫びです。」

俺は、ポンっと飴を手に乗せると同時に相原の頭を撫でて面談室を出た。

「可愛すぎだろ…」

そう呟いた俺は、相原がこの飴をお守りにしていたということを知らなかった。