俺の好きな子はあいつ

「とりあえず先輩の引退試合は終了しました。しかし、年明けには新人戦や地区大会が待っています。気を緩めず、しっかりと高い意識で部活に臨むようにしてください。」

代替わりして、自分たちが一番上になったから、と2年生の気が少し緩んだように見えたために注意する。

「小原先生、ラリーお願いします。」

佐藤が真剣な顔で挑んできた。

俺自身も高校でバドミントンをしていたためにそれなりの経験はある。

中学生相手に大人が本気で戦うのはどうか、と思っていると。

「先生、気を抜かないでくださいね?私は真っ向勝負がしたいです。」

佐藤の目にはメラメラと闘志が燃えていた。

それならば、と本気で応える。

しばらく打ち合いを続けると、だんだんと佐藤の癖が見え始めた。

15分ほど続け、佐藤がギブアップした。

「佐藤さん、なかなかに良い筋ですけど、慣れてくるとパターンが読みやすくなってきます。もう少し色々な戦術を研究して、身につけていくとさらに強くなりますよ。」

「ありがとうございます!」

佐藤は真面目で、本気で勝ちを狙っている。

良い人材を部長にしたな、と1人感心した1日だった。