俺の好きな子はあいつ

グラウンドに戻ると、学年対抗リレーも終盤に差し掛かっていた。

学年も団も関係なく大声援に包まれ、1位の選手がゴールテープを切った。

そのあとはリレー選手がゆっくりグラウンドを一周し、生徒が全員拍手を送る。

そうして最後の競技が終わり、閉会式に向けて準備が始まる。

そろそろか、と頃合いを見てグラウンドを抜け出し、相原を起こしに行く。

「相原さん、相原さん」

俺の声に起きた相原がぼーっとした顔で俺を見つめるのが可愛くて仕方がない。

「閉会式ですが、行けそうですか?」

「ん、大丈夫。ありがと、先生。」

「無理だけはダメですよ?」

「うん。先生、本当にありがと。」

出来るだけ日陰を通りながらゆっくり歩き、グラウンドの閉会式の列に加わる。

小倉の隣なら大丈夫だろうと思い、横に座らせる。

小倉に目を向けると、任せて、と言わんばかりの視線が返ってきた。

そうしているうちに校長の言葉が終わり、いよいよ結果発表。

「応援合戦の部。優勝は。」

「緑組。」

「「「「「キャー!!!!!!」」」」」

生徒が切に願っていた優勝が、決まった。