俺の好きな子はあいつ

前方からぼーっとしながら歩いてくる相原。


その瞬間、旗本先生の言葉がつながった。


そうか、あの場面を見ると生徒を助けているだけでも"教師と生徒"だから怪しまれることもあるのか…


「相原さん?どうしました?…って、鍵係ですか。ありがとうございます。いよいよ午後ですね、応援頑張って下さいね!!」


「うん。」


うっかりと変なことは言えない。


「?相原さん…ひょっとして。」


「え?………?!」


おでこを触って確認する。


「んー、大丈夫ですね。熱があるわけではなさそう。ぼーっとしていて心配です。とにかく、しんどいとかあったらすぐ言うんですよ!」


相原が辛そうな理由がわかっているものの、教師である俺は、気づいていない素振りをするしかなかった。