「…先生。」


「相原さん、出だし、めちゃめちゃ良かったですよ。僕、びっくりしました。あんなに緊張で震えてたのに、舞台では堂々としてましたから。」


本当にすごかった。


劇場に入る直前に見た相原と、舞台に立った相原は別人だった。


いつも以上に堂々として、セリフにも思いがこもっていた。


「先生のおかげだよ、ありがとう。」


「さっきの言葉、グッときました。さすが相原さんですね。明日に向けてさらにパワーアップして、4組の底力見せてきて下さい。楽しみにしていますよ。」


「…はい!!」


満面の笑顔が眩しい。


そんなあいつに触れた手が、熱い。


相原は常に周りのことを考えていて、どんな時も笑顔で、自分のことを後回しにする。


そんなあいつだからこそ、クラスでも人気者だし、先生方からも評価が高い。


その分自分の体調変化に気付きにくかったりするから、俺は心配だったりするけれど。


今日はたくさんたくさん練習するのだろう。


明日になったら、クラスみんなでさらに上手になった劇を見せてくれると思うと、とても楽しみだった。