その後クラブが終わる時間帯に、教室に残っている生徒がいないかを見に行った。


教室に近づくにつれて声が聞こえてきた。


「水華。本当にバド以外に入りたいの?」


「どうして?」


この声は、さっきバド部にきていた相原と、中川か?


「だって、ラリーしてる水華の顔、すっごい生き生きしてた。バドミントンが楽しくて仕方ない!って顔してた。自分でもわかってるんでしょ?」


「…バドが大好き。そりゃ、一番入りたいよ。けど……」


教室の前で入るに入れず、2人の会話を聞いていた俺は、中川の言う通りだと思った。


あいつは、バドミントンをするときと普段とでは別人のように、楽しそうにやっていた。


不意に、あの笑顔を守りたいと思った。


「何を悩んでるのですか?一番やりたい部活に入らないって、あとで後悔しますよ?」


「だよね…先生もそう思うか〜、、、って、先生?!」


気づいたら話に割り込んでいた。


「相原さん。自分に嘘ついてたら、いつか壊れてしまいます。一番入りたいなら、何を悩むのですか。


レギュラー争いが嫌って最初から諦めるなんて、そんなの逃げてるだけです。」
 

俺の部活では、みんながみんな、バドミントンが好きで、そんなクラブ仲間を大切にして、日々楽しんでいる。


「ほら、入部届。僕の判子は押してありますから。家でお母さんに判子もらって、明日提出してください。」


「小原先生…」


「待ってますよ。一緒に頑張りましょう。」


あそこまで言ってしまえば、あいつなら入部するはず。


そう思いつつ、職員室に戻った。