「本番3分前です!」


前のクラスが発表を終えて出てきた。


どの顔も神妙で、失敗したのかと思うほどだった。


「水華大丈夫?顔真っ青だよ?」


「ちょっと…緊張してる。」

相原の声にそっちを見ると、ちょっとどころの緊張のレベルではなかったのがわかった。


いつも落ち着いて笑顔の相原が、見たことのない顔で震えている。


「本番1分半前です!」


「水華、、「相原さん。」!先生!」


「緊張は誰だってします。ましてトップバッター。セリフ間違えたらどうしようだとか考えちゃいますよね。でも大丈夫、今までずっとずっと、みんなでやってきたでしょう?」


「…うん……」


「周りの友を信じて下さい。皆支えてくれますから。皆緊張しながらも、自分の力を精一杯出し切ろうとしています。もし無理だ!って思った時は、後ろを見て。僕はビデオを撮るために1番後ろにいます。僕を見れば、いつもの通しみたいに思うでしょ?」


気付けば、声をかけていた。


俺は、知ってる。


こいつらがどれほど練習してきたか。どれほどぶつかり合ってきたか。


だからこそ、成功してほしい。成功させてほしい。