「…先生、水華のことお気に入り、だよね?」


突然小倉にそう言われ、ドキッとする。


「…どうしてそう思ったのですか?」


「だって、水華の隣にいるときの先生すごく楽しそうだもん。いつもちょっかいかけてるし、水華もそれで喜んでるけどそれ以上に先生が嬉しそう。」


「……まあ、お気に入り、ですね。僕の部活の生徒でもありますから。」


小倉に見透かされてるとは驚きで、適当にはぐらかすしかなかった。


「水華、めちゃめちゃ良い子だからさ。傷付けないでね、先生。」


「もちろんですよ。もし何かあれば全力で守ります。」


もう既に突き放してるなんて、口が裂けても言えなかった。


「ふふっ、今の言葉聞いたら水華は死ぬほど喜びそう。…っと、もうすぐ始まる!先生、急がなきゃ!」


小倉に言われ、時計を見ると本番まで10分を切っていた。


急いで劇場前に向かうと、もうみんな並んでいた。


中でも相原はとても緊張して、心配になった。