俺の好きな子はあいつ

旗本先生と一緒の担当で助かった、なんて思いながら校舎に向かって歩いていると。


「先生!」


俺を呼ぶ声が聞こえた。聞き逃すことはない、この声は…


「相原さん!…それと小倉さんも。どうしました?」


もうすぐ劇が始まるというのに、相原がきたということは何かあったのか、と焦る。


「楽屋入りの時間だよって言ってきてと鈴子に言われた。」


何もないようで安心する。


それにしても梅野にパシられてるってわかってるんかなこいつ…笑


「相原さん。いよいよですが、緊張してはいけないですよ?今まで頑張ってきたんですから。ね?」


相原が出だしだから、相原次第で劇の雰囲気が全部決まる。だからこそ、緊張しないように、1番に気を遣う。


「分かってます。それに、先生がずっと支えてくれてたから大丈夫。みんなも先生のおかげって言ってる。頑張ってきます!」


不意打ちにそんなこと言われると照れるんだが………


「あ、声出しの時間!急がないと。先生、めぐみ、先行ってるね!」


とか言って走って行った相原。


「…逃げたな。」


ボソッと俺が呟くと、今のやり取りを全部見ていた小倉が大爆笑していた。