「どうしたの水華。元気ないよ?」


そんな梅野の声に皆が相原を見た。


相原は慌てたように取り繕った。


「ご、ごめん…考え事してて。集中する。」


「もう、水華もキャストだよ、集中してね。」


そう言って周りはまた議論し始めたものの、俺は納得しない。


「今は文化祭の方が大切ですよ。昨日のことは、また夜にでも考えてください。」


そっと相原に伝える。


せめてもの償いで、これだけは言わせてほしい。


俺なんかのために、相原の大事な時間を奪いたくないんだ。


決して口には出せない想いをそっと胸にしまい、また議論を止めに入る。


「…好き。諦めないから。」


自然と耳に入ってきた声に、思わず苦笑いでその声の主を見てしまった。