俺が、突き返した次の日。


相原は意外と笑顔が多かった。


それでも作った笑顔という感じが拭えない。


そうでもしないと、俺の顔見て泣きそうになるのかもな…


申し訳ない、と思いながらも普通に接する。


俺はというと、薬が効いて徐々に体調も戻ってきた。


文化祭まで後2週間の今日は1日準備日。


「先生!通しやります。」


連れていかれた場所にはキャスト陣が集まっていた。


出だしの相原はめちゃめちゃ重要だ。


「相原さん、出だしはすごく重要ですから。頑張って!!」


笑顔で話しかけたらすごく辛そうな顔をされた。


ごめん、俺はいつも自分勝手に決めてしまって。


でも、お前を守るためにもそうしなくちゃいけない。


だからこそ、いつも通り、冷静に。


最初と最後にセリフを言う相原は、劇全体としては脇役のポジションだが、責任重大だ。


「よーし。始めまーす!」


監督の声を合図に、通しが始まった。