次の日。


随分と良くなったものの、まだ重い体を引きずって学校に向かう。


教室に入ると、すでに来ていた生徒が口々に心配の声を上げた。


「先生!大丈夫!?」


「だいぶ良くなりました。心配ありがとう。」


教室にはまだ相原の姿は見えない。


昨日言われた言葉。


前に聞いた旗本先生からのアドバイス。


今まで逃げてきたこの気持ちとしっかり向き合い、悩みに悩んで答えを出した。


「おはよー!……って先生!もう元気なの?大丈夫?」


相原が教室に来た。その瞬間俺の心が揺らぐ。


「あ、おはようございます、相原さん。昨日来てくれてましたよね。ありがとう、先生も少しは楽になりました。」


「え、先生、あの時…「小倉さーん、提出物出しましたか?」……」


お礼だけ言って、会話をそらした。


…こんな大勢いる前じゃ言えない。


「水華?行くよ?次体育でしょ?」


「…あ、うん…‥。」


そんな声を背に、他の生徒と話していた。


「ごめんな…」


「え?先生、なんか言った?」


「いいえ、言ってませんよ。さて新井さん、移動時間ですよ。」


「は〜い」


相原が出て行った扉を見つめるしかできない俺が情けなかった。