「で?最近は楽しそうですけど。好きな人でもできました?」


いつもの居酒屋に着くなり、口を開いた旗本先生。


「好きな人って…」


そう言った途端、相原の顔が頭に浮かんだ。


「まあ大体わかりますけど。あなたのクラスのバド部さん、でしょ?」


「いや、あいつのことは…!」


旗本先生はうちの学年を担当しているため、もちろん相原のことも知っている。


ってそれどころじゃなくて…


「なんでわかったかって?薄々、バド部の子だとは気づいてましたよ、部活行って帰って来るとやたらと明るいし。
まあ何より、彼女が倒れた時のあの顔で一発ですよ。」


「わからないんです。俺は、相原には笑っていてほしい。それが、教師としての願いなのか、俺自身としての願いなのか。」


「…普通の教師なら、危ないからあいつには極力関わるな、お前の職が危なくなるぞ、って言うはず。けど、俺は別にいいと思う。


俺自身、嫁さんは生徒だったし。」


驚いた。旗本先生が結婚しているのは周知の事実。


いつも幸せそうな話を聞いて、勝手に旗本先生の同年代と想像していたが、まさか。