廻天の王女と太陽の騎士は穏やかに恋をする

曖昧にしたせいか、翔吾さんはその後、結婚の話をしませんでした。
そのおかげで気は楽になりましたが、希望のようなキラキラしたものもなくなり、私はなんとなく気持ちの沈んだ日々を過ごしていました。
沈んでいるとはいえ、翔吾さんと会えば、やはり楽しかったのですが…



父は相変わらず、翔吾さんのことをよく話題にして、結婚をすすめるようなことを言ってましたが、あまりにも私が取り合わなかったせいか、このところは結婚のことを口にしなくなりました。
もしかしたら、母が何か言ってくれたのかもしれません。



私はまた以前のように、翔吾さんと会う時は家族には嘘を吐くようになりました。
そんなことをする必要はなかったのですが、父にまた結婚のことを言われそうで嫌だったのです。
そんなある日のことでした。



『紗季さん、今度の土曜日、ちょっと遠出しない?』

『どこに行くの?』

『うん…車で4時間くらいのところ。』

翔吾さんは行き先をはっきりとは言いませんでしたが、車で4時間と断言しているのですから、行き先は決めているのだと思います。
サプライズをしようと思っているのかもしれません。



『良いわよ。ぜひ連れて行って下さい。』

いつまでこんな風に翔吾さんと会えるのかはわかりませんから、今のうちに楽しめるだけ楽しみたいという気持ちもありました。
ですから、遠出のことを了承したのです。