腕の中に温もりを感じる。

想像していたよりも小さくて
想像していたよりも温かかった。

そんな気付きが心の底から嬉しい。


自分の素直な感情にハッとなった。

ずっと前から気づいていた感情。
気づかないふりをして、消せると言い聞かせて…

でも今わかった。
無理だ。


結局俺は円の幸せを思って気持ちをおし殺してるように自分に言い聞かせて、
本当は自分が傷つくことを恐れていただけだ。

いつもそうだ。

クラスメイトにも、八方美人な笑顔を振り撒いて、
自分が傷つかない高みに行く。

そうして内心を隠して、本当の自分でぶつからないように逃げてるんだ。



そんな情けない自分に気づいても、
円を抱き寄せる力は弱めない。

俺が初めて
傷ついても手に入れたいと思った女だ。

気づかないふりも
円の幸せを願うっていう言い訳も
もうやめる。



「宮…」

円は俺の胸にうずめていた顔を上げて、俺を見つめた。

「伝わってる?」

「…
伝わってるよ。」


そう言うと、円は本当に本当に嬉しそうに笑った。


ああ…
好きだ…

俺は円が好きだ。