そう言えば…。
従兄弟のハル?だったっけ。
隣の病室にいるんだよね…。
でも、ハルなんて従兄弟いたっけ。

あ、そう言えば。

小さい頃、遊んだことがある気がする。

右目の下にある小さなホクロに、
パッチリした目。
無邪気な笑顔が似合う、可愛い子。

きっと、このことが無ければ私はハルのことを忘れていただろう。

懐かしんでいると、

トゥルルルルルル、トゥルルルルルル…

「ええ!?」

音の正体は、電話だった。

不気味に思いながらも、受話器を手に取る。

「も、もしもし。」

「…」

反応がない。

もしかしたら聞こえてないのかも。

「あのー…」

やっぱ反応がない。

とりあえず受話器を置いた。

だけど、すぐまた電話がかかってきた。

「もう、なんなの?」

「は?」

「うわぁっ!!」

こ…声が聞こえた。
って、当たり前か。
電話だもんね。

「ん"ん"ん"っ」

とりあえず咳払いしておこう。

「あのさ、お前誰?」

「へ?」

あんた誰って…。
あなたこそ誰なの!!

「わ、私は青木想楽…。」

「へえ…」

へえって何よ…。

「き、君は?」

恐る恐る聞いてみる。

「伊藤ハル。」

え!?伊藤ハルって…お母さんが言ってた…??

「き、君、今伊藤ハルって言った…!?」

一応確認しておく。

「あ、あぁ。」

やっぱりだ!!従兄弟の!!

「私、あなたの従姉妹です。」

「…はぁ?」

だっ、だよね…

「覚えてるか分からないんだけど…
小さい頃、小さい子と遊んだ覚えない…?」

「女だと、髪の毛が短くて、いつもウサギのポーチ持ってた子ならなんとなく。」

え、あ、それ私だ。
おばあちゃんに貰ったうさぎのポーチ、お気に入りで毎回持って行ってたもの。

「わ、私です!!その子!」

「…え、想楽って…。あ!!!」
唐突に何かを思い出したようだった。

「お前、青木想楽だろ!!」

「だからそう言ったじゃない。」

「お前か…。隣の病室に来るって言ってたやつ…。」

「う、うん…」

「ガチャッッ!!!」

「んなっ…。」

何故か電話を切られた。

え、ええ、えええ!!?
なんで!?
私何か気に触ることでもしたのかな…。

そんなことを思っていたその時。

トゥルルルルルル…

またか。

なんで切ったのか聞こう。

「なんで切ったの!?」
「なんで切ったんだよ!」

へ…?

「わ、私切ってない…」
「俺も切ってねーよ」

どうやら、回線が悪かったらしい。
「な…なんだ…」
「なんでホッとしてんだよ」
「私、嫌われちゃったのかと思って」
「っぷ… ははは笑」
「な、何がおかしいのよっ!」

なんで笑うの…!?

「お前、なんか可愛いな。」
「ふぇ…」

私は突然のその言葉に驚き、顔を赤くした。

「んま、これからよろしくな」
「よ、よろしく……」
「ガチャッ」

お…終わった…。

第1部〜完~