その男はロンドンにあるベイカー街221B、ハドソン夫人所有のアパートに住んでいた。男は並外れた推理力の持ち主であると共に、勇敢で人思いな、いわば非の打ちどころのない人間であった。

「おい、ホームズ。いい加減起きたらどうだ？今日は10:00に依頼人が来る予定だ。お前の寝ぼけた推理を客人に披露する気なのか？」
この男は、主の親友でもあり良き相棒でもあるDr.ワトソンである。
「そう慌てるな、ワトソン君。体は寝ていても私の頭脳は常に起きている。いつだって誤った推理はしないさ。」
この落ち着いた男こそがこの話の主になる
シャーロック・ホームズである。