まったく気づかなかったーー。
「突然敵が出てきた時とか、ビクってしてただろ?あと、怖いくせに必死に隠そうとしてたり」
「なんで、私なんか見てーー。って、もしかして、わざとホラー映画見せたでしょ!」
私の反応を見て楽しんでいたなんて......。
昔から苦手なの知っているくせに。
本当は、毛布を頭まで被って、手を握っていて欲しかったけれど、そこまで素直になんてなれない。
「バレた?杏から甘えてきてくれるかな~って思ったんだけど」
「あ、甘っ!?っ、そんなこと......」
したくても、できるわけが無い。
しかも、わざと見せた理由がそれってーー。
「俺は、待ってたのに。まぁ、おかげで楽しいものが見れたからいいけど......。可愛い杏ちゃんに頼られたかったなぁ」
わざとらしく、寂しそうな表情を見せてくる誠也。
わざとだと分かっても、きゅんとしてしまった。
そんなことに、私は騙されないんだからーー。



