離さないで、御影くん



「友達に、なれるかな」

「なれるよ、きっと」


今まで、吃音症であることで上手く喋れなくて、からかわれたり煩わしく思われたりして、友達という友達ができたことがなかった。


でも彼なら…。

仲良くしてくれる、かもしれない。


数日後、家で課題をこなしていると、LINEの通知が鳴る。


<御影優聖です!>
<連絡するの遅くなってごめん>
<今週の土曜ってどう?>


律儀に名乗ってくれている。

授業中…?と思い、時計を見ると、もう12時を過ぎていた。

お昼休みかな。
私もそろそろ昼食にしようっと。


<土曜日大丈夫です!>
<スクーリング自体は13時までには終わってます>


と返すと、画面を凝視されてたのか、すぐに既読が付く。


<了解!それくらいに学校の方行くね>

<休みの日ですよね?>
<わざわざ悪いです>

<自宅、徒歩圏内だから大丈夫!>
<気遣ってくれてありがとね>


気遣ったというか…。

うん。


<そしたら13時に学校の前ってことで!>

<了解です!>


先輩にまた、会えるんだ…。

でも、これで最後か。
彼が言った、他の日にも誘っていい?っていうのは建前だ、きっと。

いや…自分の勘を信じたい気もする。

仲良くなれるかも、友達になれるかもって。