離さないで、御影くん



「名前も知らない奴に、急に運命とか言われても困っちゃうか。ごめん」


私が押し黙ったせいで、謝られてしまった。


「せっかくの縁だし、自己紹介するね」


私は頷いた。


「全日制2年の、御影優聖。部活は、バスケ頑張ってるんだ。身長172cmしかないから、ぽくないかもだけど」


私は首を横に振った。
150cmもない私からしたら充分背高いのに。


「いやいや、部員のほとんどが俺より背高いからね。そんな否定しなくていいのに」


余計な反応をしてしまったらしい。
そうだ、私も名乗らなきゃか。


「……私、は…」


漢字を説明するなら、携帯に打った方が良いのかな。


「…漢字、説明するの難しい…から、携帯に打っても、いいですか?」

「お、難読漢字?受けて立とう!」


早速携帯を取り出して、小鳥遊紀乃と打つ。


「ことりゆきの?…あ、違うな。紀乃ちゃんだ。小鳥が遊ぶって、特別な読み方あったよなぁ」


独り言を言いながら、うーん…と考えていた。


「たかなし?」


お、当ててくれた!

何故だか嬉しくなって、元気に頷いてしまった。


「良かったー!自力で読めた!」

「……私も、嬉しい…です」


そう返すと、彼は何を考えてるのか分からない顔で、こちらをじっと見つめてきた。


「紀乃ちゃん、笑ってればいいのに。
めっちゃ可愛いよ?」


…え?何て?