翌週の土曜。

普段は家で黙々と1人で学習しているけど、毎週土曜はスクーリングの日。

高校生になって半年。やっと慣れてきた。

そんなに学校まで時間がかかるわけではないけど、最初はそんな通学路さえ怖かったものだ。


いつものように教室に向かっていると。


「ねえ、こないだの…!」


比較的静かな廊下に響き渡る声。

思わず驚いて、自分のことじゃないだろうに振り向いた。


「あ、やっぱり!」


先週の、お兄さん…?

明るい笑顔でこちらに軽く走ってやってきた。


「もしかして高校同じなのかな。忘れ物?」


何で忘れ物?

キョトンとしてると、彼は


「ここの全日制通っててさ。通信制もあるから置き勉とかできないのに、ペンポーチを机に入れっぱにしちゃってたの思い出して。
それで、慌てて取りに来たんだ」


と続けた。

そういえば、ここは全日制高校に併設されてる通信制高校。同じ教室を使ってるから、そういうこともあるよね。

それで、もうすぐ始まる頃だから、慌ててってことか。

ん?てことは一応、高校一緒ってことになる?


「……私、は…通信制の1年生です」

「あ、そうなんだ!なんか運命みたいだねっ」


こんな王子様みたい人と、運命なんて無いと思うけど。

どんな世界線だったら、私なんかと運命になるんだろう。