少しだけ清々しい気持ちで家に着く。
部屋に荷物を置いて、貰ったハンカチだけ持って洗面所に行く。
「ただいま」
「んー、おかえり」
お風呂掃除しているお母さんに声をかける。
家では、普通に喋れる。
「どうしたの?そのハンカチ」
「あ、これね」
あったことを話した。
「災難だったね…。でも、助けてくれて良かったね。めっちゃカッコイイじゃん、そのお兄さん」
「うん」
掃除を終えたお母さんがこちらにやって来て、ハンカチを手に取った。
「ゆうせいくん、だって」
「え?」
「いや、ほら。名前書いてあるから」
「あ、ホントだ。弟のとか?」
「お兄さんって思ったかもだけど、実は年下だったとか?」
2人で推測を立てる。
「洗っておくね」
「あ、うん。ありがと」
多分もう会うことはないだろうけど。
…って思ってるはずなのに、何故か“また会いたいな”って思ってる自分がいる。
変なの。



