「晴君?」

そう呟いた私の声は
少し震えていたような気もする

「ん?どうかした?」

「...ううん、何でもない」


だって晴君の瞳が悲しそうに揺れたから
でも聞き返すことは出来なかった

次の瞬間には、まるで何事も
無かったような顔をしていたから


「明....本当はわかってるんだろう?」

「...何が?」

「自分が今 幸せだって」

「・・・・」

「確かに、お母さんがいてくれれば
それが1番幸せだったのかもしれない

でも、現実にあるのは
お母さんのいない世界なんだよ。
だったら"今"を楽しむしかなくない?」