信秀様が亡くなった。

私は信長様に仕えなければいけなくなる。

正直不安だ。あの時私が信行様と答えていたら、私は信行様に仕えていたのか。

それはわからない。

「お前が父上に仕えていた忍びか。わしは信長だ。知っておるな」

「はい。」

「名は栄と申したか」

「はい。」

「女で忍びか。しかし誰よりも強いと聞く。頼りにしておるぞ」

「ありがたき幸せにございます」



私は強い。誰よりも強い忍び。



信長と信行の亀裂が徐々に浮き彫りになってきた頃

「栄」

「はっ。」

「弟の信行が美濃の義龍と手を組んでいるかもしれぬ。柴田勝家からの報告故に信憑性が低い。」

「かしこまりました」


信行邸忍び込む。ここは簡単に侵入できてしまう。


「義龍殿から来たか」

文を読み始める信行を上から見る。

ー信行殿
こちらは邪魔な弟2人を葬った。父親とも思わぬが道三も葬った。あとは信長だけだ。美濃の水と称して毒の入った水を飲ませてやればいい。頼んだぞ、信行殿。
信長がいなくなれば今川様も喜ばれるだろう。
ー 斎藤義龍

「信長を葬る事など容易い!」
そう言う信行を上から眺める。

信行が去ってからすぐに先の文を取り出し、即座に信長のもとへ走る。