「菫に同棲しようって言ったんだ」

俊哉はぶっと珈琲を吹き出した。

「な!お前らいつの間に付き合ってたんだ?!」

「いや付き合ってるとかそんなんじゃないよ。幼馴染だし…
あいつは恋愛経験がないんだ。そんな状態で親の決めた男と結婚しなきゃならねぇー…
恋がしたいと言っていた。ならば俺とすれば良いって言ったんだよ」

「いやいやそもそもお前菫の事が好きなのか?」

「そりゃー菫の事は好きだよ!」

「いや、俺はお前が菫を好きだなんて昔から知ってるって!」

「なら聞くな!馬鹿!」

「それが幼馴染以上の感情かって事を訊きたかったんだがな…」

幼馴染以上の感情…?

そう問われるとこの気持ちが何なのか分からない。

菫が西城さんを好きだと聞いても嫉妬はしなかったし、それこそ菫が西城さんの事が本当に好きであるのならば上手くいく事を望んでいた。

でも…もしも菫が全然好きじゃない人と結婚すると言うのならばそれは微妙だ。 俺は菫には幸せになって欲しいのだ。

大切で特別な存在なのは間違いないのだから。

俊哉の言葉にため息が止まらない。

「妹のような時に姉のような特別な存在なのは間違いないんだ」

「そりゃー……。小学校の頃からいつも菫を庇ってたもんな、潤は」

「庇っていたつもりが庇われてたんだよ」