「いや、お前は小学校からずっとモテ期だろうが。
幼馴染の俺が言うんだから間違いないよ。
潤はもーちっと身長は欲しかったところだが、そこはまぁ日本人の平均よりデカいって事で目を瞑る。
顔も可愛いらしいし、誰にでも優しくって、とっても良い子だろうが」

同い年の友人にまるで子供扱いされているようだが、少しくすぐったくて嬉しい。

お前も熊さんみたいだけど充分良い奴だ。

「それに自分の夢に一途な所は尊敬出来るし、行動力ある所もすげーとは思う。
S.A.Kという大会社の息子であり、佐久間文江と大層なおばあちゃんまでいるのに、自分の力で自分の夢を叶えたいって奴は早々いねぇよ」

「だよね?!俺ってかっこいいよね?!」

「すぐ調子に乗る所がたまにきずだが…」

「どうして菫はあんなに頑ななんだろうな」

その名を出すと、やれやれと言った感じで珈琲を手に持ったまま俺のディスクへ腰をおろす。

「菫は仕方がないよ。あれこそ性分だ。
小学校から知っている仲ではあるが、人に勘違いされやすい奴だ。
ちょっと人より綺麗だから気取ってる奴って思われたり、勉強もスポーツも出来るけど涼しい顔をしてるから生意気だと思われたり
基本的にあいつは不器用なんだよ。潤のような人間には分からんかもしれないけどな、菫は菫で苦しんできていると思うぞ。
俺やお前は菫と仲が良いからあいつの良い所は知ってるけど、誤解されやすい女である事は間違いない」