「確かに菫には沢山お色直しして欲しいなぁ~。」

隣でにこにこと微笑む潤を睨みつける。…だから何であんたまで乗り気なのよッ。

父はきょとんとした顔で私へ結婚式の資料を押し付ける。

「何だ菫?潤くんと結婚をしたかったのではないのか?
お父さん西城社長に無理を言ったんだぞ?こんな突然式場も空いてまい。
それを無理言って頼み込んで最高の式場を用意してもらったんだ!」

貰ったんだ!ではない。そういう問題じゃない!

私に許可も得ずに勝手に結婚話を進めているのがムカつくんだ。

渡された結婚式の資料を再び父の胸へ押し付ける。

「そりゃあいつかは結婚したいとは思うけど、何でこんなにいきなりなのよ!」

「結婚というのは勢いも大事なものだ」

だからどの口がそれを言うのだ。先日まで結婚には大反対していたと言うのに。わざわざ西城グループまで出向いて、西城社長に式場についてお願いしたそうだ。その一部始終は大輝さんから聞いた。

まさかこんな突然結婚式になるとは思いませんでした。と西城さんが手に持っていた式場の招待状は父が勝手に制作したものであった。それには呆れかえった、と同時に怒りも沸いてきた。

私はこれから潤と恋人同士として新生活を始めて、そして何年か経ったら結婚もいいかなぁと考えていた所だったのに、突然すぎるのよッ!

「まぁいいじゃない。いずれは結婚するなら。
おじちゃんだってあんなに嬉しそうだしさぁー…」

「嬉しそうなのがまたムカつくのよッ。あんなに私と潤が付き合う事に反対してたくせに」