大輝さんとの打ち合わせを終わらせて、自身が携わるお店に顔を出す。

社長令嬢だからといって舐められたくなくって仕事は頑張ったつもり。どんな世界でも親が社長であると色眼鏡で見られる。

ただのコネ入社だとは言われたくなかったし、親の力なんて陰口も叩かれたくなかった。だから自分に出来る事は頑張って、人の何倍も仕事をして、誰よりも早く出社して、誰よりも遅くまで仕事をしていた。

何の為か、誰の為か、そう問われると謎なんだけど…私は昔からそういう性格なのだ。

潤とは全く正反対で、常にコンプレックスと隣り合わせで…。



幼き頃から勉強やスポーツもこなして、習い事も沢山していた。自ら望み。

篠崎リゾートの娘であるのならば、完璧な人間でいないといけない。まるで自分で自分に言い聞かせるように。

そんな私が学生時代に生意気だと言われたのは1回や2回の話ではない。見る人から見れば、隙のない人間に見えるのだろう。そしてそんな私を排除したがる人間は一定数いた。

小さな頃は苛められても仲間外れにされても泣きはしなかった。それに潤が側に居てくれた。潤はどんな時だって私の味方でいてくれた。

社長の息子であっても親しみやすく誰にでも優しかった潤は、いつだってクラスの人気者でムードメーカー。女の子にもよくモテていたし、男の子にも慕われていた。

そんな潤の幼馴染であるという理由だけで、生意気な私が許されてきたという節はある。