おいおい娘父揃って被害妄想激しいかよ。やっぱり菫とおじちゃんは親子だ。こういう所はよく似ている。

それに自分で酷い事を言った自覚はあるらしい。まぁ気にしちゃいなかったが…。

はぁ~っと大きくため息を吐くと、途端に気が緩んでいった。

これだけ憎まれ口が叩ければ大丈夫そうではある。

「25年間もお隣さんで暮らしてきて家族同然だと思っているよ」

その言葉におじちゃんは目を丸くした。

「おじちゃんには小さい頃に遊んでもらった記憶だってあるし、良くしてもらった記憶もある。
俺は菫が好きなように当然おじちゃんの事も好きなんだけど?好きな人が倒れたって聞いて会いに来ることに理由なんてあるの?」

大きく見開いた瞳が途端に閉じられる。ゆっくりと眉を下げて困ったような顔をするんだ。

よく考えてみてよ。きっと菫が逆の立場だったとしても、俺と同じことをしたと思う。俺のかーちゃんやとーちゃんを、俺同然に心配するのは当たり前だ。

それが幼馴染。そして家族同然に25年間隣同士で暮らしてきた家族同士だ。

「それにさ菫は口には出さないけどおじちゃんの事ばかり考えているよ。
今日だって1番に来たかったに違いないさ。でも菫もおじちゃんと一緒で素直な子じゃないから、会いに来れなかったんだろう。」

「菫が……」

「うん。だからさ…菫には折りを見て話しはするよ。一度家に帰った方がいいって。
俺もささっきも言った通りおじちゃんがあっての菫だとは思っているから、このままふたりが仲違いしてるのは嫌なんだ。
だって家族だもん。そう簡単に縁が切れるもんじゃないよね。菫はおじちゃんの事が大好きなんだから。
好きな人には俺たちが付き合っているのも、いずれ結婚するのも認めてもらいたいよね」