「そういう問題ではないのだ。菫があんな淫らな格好で人前に晒されるとは…。
それに菫はあんな露出の高い服は似合わないッ。それに色もだな、白と黒がよく似合う子なんだ。
昔から美人はモノクロが似合うと決まっている。それをなんだ?あんなカラフルなはしたない色の洋服を着て」

「そんな事ないよ。菫はモノクロより華やかな色の方が似合う」

「何を?!俺は父親だぞ?!菫の事は1番よく分かっている!」

「俺だってデザイナーの端くれだ。その人に1番似合うパーソナルカラーは俺の方が分かっている」

「ぱ、ぱ、パーソナルカラーなど…!また年寄りには分からん横文字をつかいおってッ。
大体君は生意気なのだよッ。自分のブランドもまだ出しておらん癖にデザイナーの端くれなどと名乗りおって!」

パーソナルカラーはパーソナルカラーだ。特別に難しい言葉を使った訳ではない。

けれどもおじちゃんは青筋を立てて怒り狂う。このままだったら血管が切れてそれこそ大事にでもなってしまうのではないかと思う。

うぅっと胸を抑えてその場でハァハァと息を吐く。

背中を軽く叩き「あんまり興奮すんなって」と言うと、お前に言われたくないとまた可愛げのない事を言ってきた。

深く深呼吸をして息を整える。そして再びこちらを一瞥した。

「一体君は何をしに来たと言うのだ…。まさか弱った私を嘲笑いにきたとでも言うのか?
どうせざまあみろとでも思っているのだろう。君に酷い事ばかり言った私にバチが当たったのだと…」