「潤くんごめんね。こんな夜遅くに来させてしまって…。
私ってばお父さんが家で倒れてオロオロしちゃって…。直ぐに綾ちゃんを呼んだんだけど…」

おばちゃんは未だにオロオロとしっぱなしだ。この人とふたりきりの家で、突然家主に倒れられたら驚いたに違いない。

菫が家に居ればまた何か違ったのかもしれないけど。

「もービックリだよ。いきなりお父さんが死んじゃうー!って電話来てさー。
潤くんのおばちゃんが救急車とか呼んだり応急処置をしてくれたみたい。
おばちゃんにお礼にいかないとな」

「本当だわぁ…。綾ちゃんはやっぱり頼りになるわ…。潤くん本当にありがとうねぇ」

「いえ、俺は何も……。
それより俺少しここにいます」

布団を頭から被るおじちゃんがぴくりと動いた。

「本当にごめんね、潤くん~…。
医者が言うのは栄養失調みたいな感じでさーそれに仕事しすぎみたいで、この人ったら睡眠もちゃんととっていなかったみたいでさ」

「こら、大地父をこの人と言うのはやめなさい」

「おいおい~俺にいっつも体調管理も社会人としての仕事のひとつだって言ってたろ?言ってた本人がこんなざまとはねぇ。」

「ねぇ大地入院手続きとかってどうしたらいいのかしら?」

「あぁ俺も一緒に行くから。
じゃあ潤くんちょっと頼むね。俺付き添いで行ってくるから」

やはりおばちゃんは世間知らずなのだ。菫も大概世間知らずだが、おばちゃん程ではない。

大地がしっかりしていて本当に良かった。いつもは軽口を叩きまだまだ子供だなぁと思うが、こういう時に頼りになる男にいつの間にか成長していた。

目の前で拗ねて布団を被ったままのこの人よりかはよっぽどか…。