「おお……そうだな。いやそれもあの人も娘を心配してだな……」
「あんたは菫のとーちゃんと仲が良いからねッ。全く分かんないよ。どーしてあんな堅物と仲良く出来るんだか…」
「いやぁ…あれで義彦くんも悪い人ではないんだ。過保護というかなんというか…」
「そんなの知ってるよ!悪い奴じゃないから余計に質が悪いんだよッ。
25年間も幼馴染で一緒にいた潤が何で今更菫を幽閉する必要がある。
あの親父は大袈裟なんだよ、全く」
母はぷりぷりと怒っていたが、父は苦笑いをしたまま頭を掻く。
…まぁこれで上手くやってるんだから俺の文句を言う所ではないけど…。
しかしこのままでは俺たちのせいで両親たちの仲も悪くなりそうだ。…主にかーちゃんとおじちゃんだが…。
一息つく間もなく、俺は篠崎家へ向かおうとした。すると珍しく父に引き止められた。
「潤」
「ん?」
「その、アレだ。娘と言うのは父親にとっては特別な物なんだ。
義彦くんが理解ないわけではない…。彼もあれで寂しがりやな所がある。
俺ももしも舞が結婚するなんて誰かを連れて来たら…そりゃー舞の人生だから反対はしないが、寂しくはある。
相手がどんな人間であろうとあら捜しのひとつやふたつしたくなるかもしれん」
「はは、とーちゃんでもそういう事思うんだね。
勿論分かってるさ。菫のおじちゃんが菫を大切に想っているのはさ」



