「そうね。でもこれからの俺を見てくれなんとか言ってたわよ。
それに大倉さん潤の洋服を褒めてくれたの。私がそんな恰好をするとは思わなかったって。
腹を割って話さなかった私にも悪い所があったと思う…。それに今日本音で話してみたら、そこまで悪い人でもないと言うのが分かった。」

お前騙されている…。絶対絶対絶対騙されている。

どうして才女のくせしてそう単純なんだよ。

「父の決めた人だから嫌だと思ったけど…何回か会うのも悪くないかもね。
それより潤、おばちゃんの具合いは大丈夫だったの?」


菫の言葉を無視して、自室へ向かう。

何だよ、それ。何回か会うのも悪くないかもね?それってこれから大倉との未来について考えるって事か?

さっきまでも確かにモヤモヤした気持ちだったが、余計にモヤモヤしてしまった。

そんな言葉聞きたくなかった…。もう二度と会わないで欲しかったのに。あいつと結婚を決めたら、菫は当然だが俺の家を出ていくだろう。

そんな日はいつか来ると思っていた。

菫が幸せならば俺は相手が誰であろうと良い。そう思っていた筈なのに……。このモヤモヤの正体は一体なんだったのか。