「大丈夫だったか?」

「何がよ?」

「大倉さんの事だよ」

その名前を出すと、菫が大きな目を見開いてこちらへ身を乗り出してきた。

…あんまり無防備に近くに寄ってくれるな。かーちゃんやおばちゃんに言われたからか…やけに意識をしてしまう。

「あぁ大倉さんにならはっきりと結婚出来ないと告げたわ。私は他の女と結婚しても遊びたいというような男と結婚するなんてありえないって。
それに顔はタイプだけど趣味とか合わないし、一緒にいても全く楽しくないからって。」

…それははっきりと言い過ぎなのでは?余計な事まで…。どうしてお前は0か100しかないんだよ…。

あんまり強気に出ると相手に何をされるか分からないぞ。

「そうしたら大倉さんすごく楽しそうに大笑いして…思っていた人とは違いました。って言われた。
もっと大人しい人の言いなりになるお嬢様だと思ってたって、失礼しちゃう。」

「それで?!それでどーなったの?!」

「何よー。そんな興奮しちゃってどうしたって言うの?
大倉さんは諦めないって言ったわ。本当にしつこい人……。それに私が望むならば女性と遊ぶのは止める、ですって」

「はぁー?!何それ、そんなの信じちゃいけないって!」