暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》













目を覚ますと、私はふかふかなベッドの中にいた。



辺りは一面真っ暗で、人の気配は感じられない。



私は、一体どのくらい眠ってしまったのだろう…。



ベッドの中で背伸びをしながら、あの出来事の後を思い返す。


確か皇宮医の治療を受け終わった後、とにかく眠いとベッドの上に横たわって。



それからの記憶が全くない。


それってつまり……あれからずっと寝てたって事だよね?


ベッドから立ち上がると、カーテンへ手を伸ばした。



先程まで薄暗かった部屋に、美しい月の光が差し込む。



真夜中……って事は、軽く十時間は寝てたのね。



普段ならこんなに眠ってしまう事はあり得ない。


しかし、どうやら力を使うといつもより眠りが長くなるのか、過去に里で力を使った時には、一日中目を覚まさなかったと聞いた。



力を使う時は気をつけないとね。


それよりも……



グゥ〜…。



お腹空いた。



お昼から何も口にしていないせいか、お腹が激しく鳴っている。



このままだと眠れそうになく、部屋の周りを十分に確認した後、私は静かに部屋から抜け出した。